
「いざギタ」へようこそ! ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
今日もどうぞゆっくりしていってください。
今日は「カノン進行とはなんぞや?」というのを解説をしていきたいと思います。
カノン進行なんて言葉を知っている時点で、ある程度は音楽について知識があると思うんですが、そうじゃない方でも理解できるよう、音楽理論の部分は簡単に解説していきます。
安心してついてきてください。
カノン進行とは
まずはじめに「カノン進行って何なのか」をカンタンに解説したいと思います。
カノン進行とは、コード進行のうちのひとつです。
「コード進行」とは、コードの並び方のことだと考えてください。
というわけで、まずはカノン進行がどんなコード進行なのかを聴いてみましょう。
まずは聞いてみましょう
こんなコード進行。
名前の由来
なぜこのコード進行が「カノン進行」と呼ばれているのかというと、「カノン」という曲で使われたコード進行だから。
「カノン」っていうのは、こんな曲。
正式名称は「3つのヴァイオリンと通奏低音のためのカノンとジーグニ長調」です。
結婚式とか卒業式とかでよく聴きますよね。
作曲者は、ヨハン・パッヘルベル。
私は何となく、バッハの曲だと思ってました。
記事を書くことで自分の勘違いを修正できるのでありがたい。
ちなみに「カノン」っていう言葉を和訳すると「輪唱」になるそうです。
輪唱というのは、特定のメロディを複数パートが追いかけるように演奏していく演奏様式のこと。
わかりやすい例でいうと「カエルの歌」とかが該当します。
カノン進行で使われるコード
カノン進行では、以下のようにコードが進行します。
C→G→Am→Em→F→C→F→G |
コード進行のメインになる音程(キー)に対してどのくらい離れた音なのかを示す「度数」の考え方に沿って各音を並べると、以下の表のようになります。
コード | C | D | E | F | G | A | B |
度数 | Ⅰ | Ⅱ | Ⅲ | Ⅳ | Ⅴ | Ⅵ | Ⅶ |
よって、カノン進行を度数で表現すると、以下のようになります。
Ⅰ→Ⅴ→Ⅵm→Ⅲm→Ⅳ→Ⅰ→Ⅳ→Ⅴ |
Ⅰの音をDにすると、キー=Dのカノン進行ができあがります。
D→A→Bm→F#m→G→D→G→A |
同様に、Ⅰの音をEにすると、キー=Eのカノン進行となります。
E→B→C#m→G#m→A→E→A→B |
ただ、度数とかキーとかが出てくるとけっこう複雑でわかりづらいので、この記事ではキー=Cの場合に限定して解説していきます。
カノン進行の特徴
私が思うに、カノン進行の特徴は大きく以下3つです。
1.親しみやすさや心地よさを感じさせる 2.音がキレイにつながっている 3.ループできる構造になっている |
それぞれ詳しく解説します。
【特徴1】親しみやすさや心地よさを感じさせる
カノン進行は、何となく「親しみやすさ」や「心地よさ」を感じさせてくれるコード進行です。
その理由は、カノン進行で使われているコードがすべて、キーとしっくりフィットする響きだから。
コード進行の中には、あえてキーとフィットしないコードを入れているものが多く存在します。
あえて不安定なコード進行にすることで「おっ!」と注意を惹きつける効果があるんですね。
カノン進行には、そういった不安定さがありません。
よって、シンプルで安定した印象になり、親しみやすさや心地よさを感じやすくなるんです。
難しい理論なしに、安定した響きを作り出せる手軽さから、ポップスやロックで頻繁に使われまくる定番のコード進行となっています。
【特徴2】音がキレイにつながっている
カノン進行は、使われているコードの構成音がキレイにつながっています。
・・・むっちゃ分かりづらい説明ですみません。
これは多分、図を見ていただいた方が分かりやすいと思います。
コード進行の中心となる音である「ド」から出発して、1段階ずつ音が下がっていっていますね。
このような特徴をもつコード進行は、順番に音がつながっていくコード進行という意味で「順次進行」と呼ばれています。
順次進行は、音階の並びがなめらかでキレイなため、耳馴染みがよい印象を与えるという特徴があります。
【特徴3】ループできる構造になっている
カノン進行は2周、3周・・・とループし続けやすいコード進行です。
「特徴1」「特徴2」で説明したように、カノン進行に出てくるコードはすべて、キーにフィットする響きをもっており、各コードの音はなめらかにつながっています。
そして、最後に出てくるコード「G」は、何となく「C」につながることを連想させるコードになっています。
これは「G」が、キー=Cにおける5度の音程だから。
5度の音は、1度の音(キーの音)へのつながりを予感させる響きになっているんです。
まぁちょっとふんわりした説明にはなったんですが、最後のコードから最初のコードにつなげやすく、エンドレスにリピートできるというのがカノン進行の特徴です。
カノン進行の特徴がわかったところで、続いてはカノン進行をどのように使えばよいのかを解説します。
作曲をする方は、ぜひ参考にしてみてください。
カノン進行の使い方
カノン進行の使い方・・・っていってもまぁ、基本的には自由に使ってもらって大丈夫なんですが、オススメの使い方は以下のとおりです。
1.安定感がほしい場面で使う 2.1小節あたり1コードで使う 3.一部を別のコードに変更して使うのもアリ |
それぞれ詳しく解説します。
【使い方1】安定感がほしい場面で使う
先ほど「カノン進行の特徴」でも解説したように、カノン進行は安定感があり、耳なじみの良さを感じさせてくれるコード進行です。
よって、曲の展開の中で安定感がほしい場面に適しているといえます。
安定感がほしい場面というと、Aメロとかサビですね。
逆に、Bメロにはマッチしないかもしれません。
というのもBメロは、Aメロとサビをつなぐ役割のあるパーツで、ある程度の不安定さがほしい部分だからです。
カノン進行のみで曲全体を構成することもできるのですが、ある程度の変化を加えないと、まったく印象に残らない無難な曲になってしまうケースが多いです。
そのため、基本的にはAメロやサビなど、安定感が欲しい場面でのみ使うのをオススメします。
【使い方2】1小節あたり1コードで使う
1小節に1コードを当てはめる使い方は、汎用性が高くオススメです。
コードを切り替える際の定番パターンなので、演奏もしやすく、様々なテンポの曲とマッチします。
カノン進行を使った作曲に慣れてきたら、曲の雰囲気や気分に合わせて、コードチェンジのタイミングをアレンジしてみるのも良いでしょう。
コードを切り替えるタイミングが変化するだけでも、印象の違った曲を作ることが可能です。
【使い方3】一部を別のコードに変更して使うのもアリ
カノン進行はめちゃくちゃ安定感があってシンプルな分、実は「純粋なカノン進行で作りました!」という曲は少ないんです。
たとえば、「C→G→Am→Em」まではカノン進行を使い、続く「F→C」の部分を別のコードに変える、というケースも多く見られます。
大枠はカノン進行を使いつつ一部のコードをアレンジすることで、親しみやすさと独自性を両立させることができます。
具体的にどんなアレンジ方法があるのかは、このあとで解説しますね。
カノン進行の変形パターン
先ほど「カノン進行を使って作曲する際には、一部のコードを変更してアレンジを加えるケースがある」とお話しました。
では一体、どんなアレンジのパターンがあるのでしょうか。
代表的なアレンジパターンをご紹介します。
【パターン1】2つ目の「F」を「Dm」に変える
1つ目のアレンジパターンは、以下のコード進行です。
C→G→Am→Em→F→C→Dm→G |
2つ目の「F」を「Dm」に変えることで、元々のカノン進行よりも順次進行が長く続いていることがわかります。
で、順次進行でDmまで進んで、最後は強進行の流れになります。
強進行とは、完全4度上(=完全5度下)に進む音の流れを指し、自然で心地よい流れができるコード進行です。
ジャズでよく使われる「ツーファイブ」的な響きにもなり、流れるようなコード進行になります。
【パターン2】「Em」を他のコードに変える
「Em」を別のコードに置き換えるパターンです。
以下のようなコード進行になります。
C→G→Am→E7→F→C→F→G |
C→G→Am→F→F→C→F→G |
C→G→Am→Am7→F→C→F→G |
パターン1(2つ目のFをEmに変えるパターン)と併用されるケースも多いです。
C→G→Am→E7→F→C→Dm→G |
C→G→Am→F→F→C→Dm→G |
C→G→Am→Am7→F→C→Dm→G |
【パターン3】ルート音を順次進行させる
分数コードを使って、コードのルート音(最も低い音)を一段階ずつ下降させるパターンです。
C→G/B→Am7→Am7/G→F→C/E→F→G |
元々のカノン進行にも、順次進行になっている音がありましたよね。
ルート音を変更することで、低音弦でも順次進行が生まれ、よりなめらかな印象が強調されます。
カノン進行が使われている曲
カノン進行は、洋楽・邦楽を問わずさまざまな楽曲で使われています。
実際の曲でどのように使われているのかがわかるよう、音声とYouTubeの動画とともに紹介します。
なお、元々のカノン進行のまま使われているケースはけっこう稀で、たいていはアレンジして使われています。
洋楽
まずは洋楽から見ていきましょう。
Basket Case/Green Day
冒頭からいきなりカノン進行が使われています。
キー=E♭です。
Aメロ E♭→B♭→Cm→Gm→A♭→E♭→B♭ ▼度数で示すと以下のとおり |
Don’t look back in anger/Oasis
Aメロとサビで、カノン進行の変形パターンが使われています。
元々のカノン進行では「Em」の部分に「E7」を使うことで、意外性のあるコード展開にしています。
Aメロ・サビ C→G→Am→E7→F→G→C→Am→G ▼度数で示すと以下のとおり |
Let it be/The Beatles
もはやカノン進行の原形がほとんど残っていません。
「Em」の代わりに「F」を使っており、意外性のある響きを生んでいます。
Aメロ C→G→Am→F→C→G→F ▼度数で示すと以下のとおり |
邦楽
続いて邦楽を見ていきましょう。
チェリー/スピッツ
カノン進行をそのまま使った曲。
変形させずに使うのは、けっこう珍しいです。
Aメロ C→G→Am→Em→F→C→F→G ▼度数で示すと以下のとおり |
愛をこめて花束を/Superfly
キー=Gでの、カノン進行の変形パターンです。
2つ目の「C」になる部分を「Am7」にし、その後「D」になる部分を「Am7/D」と分数コードにしています。
Aメロ・サビ G→D→Em7→Bm7→C→G→Am7→Am7/D ▼度数で示すと以下のとおり |
終わりなき旅/Mr.Children
「G」を「Em」に置き換えるとともに、後半の「F」を「Dm7」に置き換えています。
また、最後の「G」を「Gsus4→G7」にすることで、細かい音の変化をつけています。
サビ C→Em→Am7→Em→F→Em→Dm7→Gsus4→G7 ▼度数で示すと以下のとおり |
カノン進行を使ってキャッチーな曲を作ってみよう
この記事では、カノン進行について解説しました。
けっこう盛りだくさんだったので、カンタンにおさらいしましょう。
- カノン進行は「Ⅰ→Ⅴ→Ⅵm→Ⅲm→Ⅳ→Ⅰ→Ⅳ→Ⅴ」というコード進行のこと
- キー=Cの場合は「C→G→Am→Em→F→C→F→G」となる
- 親しみやすさや安定感を与えてくれるので、さまざまな曲で用いられている
- ただしその多くは、アレンジされたパターンであることが多い
っていう感じでした。
カノン進行を使うと、王道感のある曲がつくりやすくなります。
ぜひあなたもカノン進行を使って作曲してみてください!